容疑者Xの献身/東野 圭吾 レビュー
「たとえば幾何の問題と見せかけて、じつは関数の問題であるとか」
| 今や売れっ子作家になった東野圭吾の代表作になった一冊。 第134回直木賞、第6回ミステリー大賞、2005年度このミステリーがすごい!第1位獲得。 | ![]() |
「白夜行」や「ガリレオ」がドラマ化され、ここ数年で一気にメジャーになった東野圭吾。以前から外れのない作家として、ちょこちょこ読んでました。
トリックだけでなく、ひとつの物語としてちゃんとしているので、優等生的なミステリー作家と言えるでしょう。
推理小説だと、トリックだけは凄いが人物造形が浅くて、読み物として完成していないものがあったりしますが、そういう心配はこの人には無用です。
この「容疑者Xの献身」は容疑者Xの生き方が、入念に書かれ、それだけで1冊の別の物語が書けそうな本になっています。その上に素晴らしいトリックが仕掛けられ、ミステリーとしてはこれ以上ない本になっています。
私にとっては、ミステリーや推理小説に仕掛けられるトリックというものは、それだけで評価を上下させる決定打になります。どんなに人間模様が面白くてもトリックが陳腐だったら満足度は一気に下がります。どんなトリックでも良いという訳ではなくて、無理なく納得が出来て、過去に類を見ないモノが理想です。しかも思いつきそうで思いつかないという微妙なものこそ、読後感の「やられた」といううれしい悔しさに繋がります。容疑者Xのトリックもそんな「やられた」素晴らしいトリックです。
またうまいと思うのが、このトリックを良くある推理もののように、「誰がそれをしたのか?」という形式(ミステリー用語でフーダニット=Who done it?)にしなかったこと。トリックとその表現形式が絶妙に噛み合っていることにも注目です。
取り上げた一文。推理小説では、この一文のように読者(或いは謎の解けないワトソン役)の視点をだますトリックは、ごく一般的でありふれたものです。ですが、その中でも容疑者Xの仕掛けたトリックは最高レベルにランクするものです。是非だまされてください。
これなら直木賞、「このミステリーがすごい!」第1位他、数々の章を受賞したのも納得です。
評価<★★★★☆>
タグ |
| ミステリー | 本格推理 | 東野圭吾 |
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