モダンタイムス/伊坂幸太郎 一文レビュー
人は知らないものにぶつかった時、まず何をするか?
| 伊坂幸太郎の最新刊です。やっぱり面白い本は、続けて読みたくなるので長編でもすぐに読み終わってしまいますね。読んでいる間の楽しさを考えると、もう少しゆっくり呼んだ方がお得じゃないか、とも思いますが忍耐力があるのかないのか、ついつい読み進めてしまって、あ〜終わっちゃった、となります。 | ![]() |
テーマのひとつとしては比較的使い古された“システム”の話し。今回の一文に取り上げた疑問の答えとしてある「検索」を利用した監視システムというのも、実際に検索サイトが大きくネットを支配し、ありとあらゆる情報を集めまわっている現在、比較的良く聞く話しである。物語はその「システム」を軸に、ぐるぐると旋回しながら次第にその中心へと迫っていく主人公たちのストーリー。
思い返せば、伊坂作品の多くはこの“システム“というものをひとつの大きな対立項としたもうひとつの項としての物語がつづられていることに今更ながらに気付きます。デビュー作「オーデュボンの祈り」でも我々の知らないとある島での”システム”がその物語の中心をなしていたし、「砂漠」
や「魔王 」
ではまさしく“システム“との対立が明確な主題となっていました。”小説“という体裁がその時代や国家という目に見えない”システム“に反旗を翻すものだという言葉があったように記憶していますが、現代ではその”システム“が非常に分かりやすく目に見えてきているという感覚が自分の肌でも感じられます。そう言った意味では、現代をわずかに押し進めた形の世界が描かれているこの物語は、自分の物語になり得る、或いは近しいものとして感じられ、これまで以上に物語に引き込まれたような気がします。
尚、作者の後書きにあるように「ゴールデンスランバー」と平行して書かれているせいか、非常に似ている作品ではあります。表裏一体とまではいきませんが、ひとつの軸に沿った2重螺旋のような関係を作っているような印象はありますので、「モダンタイムス」の前に「ゴールデンスランバー」を読んでおいた方が楽しめるんじゃないかと思います。それと作中の話から想起したのは大友克洋の「AKIRA」ですね。「モダンタイムス」が大人たちの戦いだとしたら、「AKIRA」は少年たちの戦いだと言っても良いんじゃないかと思います。読んでいない人は「モダンタイムス」を読んだ後でも良いので、「AKIRA」も読んでみてください。浦沢直樹より面白いと思いますよ。
さて、今回のこの「モダンタイムス」にもこれまで出てきた登場人物が脇役として登場してきます。どうしてこう他の物語の登場人物が別の物語に出てくると嬉しくなるのでしょうか。伊坂作品が好きな人が全部の作品を読んでしまう羽目になるのは、もしかしたら作者の陰謀か?と疑いたくなりますが、まあ楽しみのひとつであるのは否めません。本作で後半に出てくるアメフト部の監督は、みんなが好きなあの人なので、きっとみなさんもそこでにやっとしちゃいますよ。
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| 現代小説 | 伊坂幸太郎 |
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