悪夢のドライブ/木下半太レビュー
わたしの夢はね、一流のペテン師になることなんだ
| 抱腹絶倒ミステリー「悪夢のエレベーター」でデビューした木下半太の悪夢シリーズ第3弾です。 「悪夢のエレベーター」は以前にレビューしてます。実は第2弾「悪夢の観覧車」も読んだのですが、そちらはレビューをスルーさせてしまいました。ちょっと「悪夢のエレベーター」に比べると最後のトリックが弱かったので、基本的に薦められる本を取り上げているこのコーナーではレビューしづらかったんです。 でも最近になって文庫化されたこの「悪夢のドライブ」は再び最後のトリックも見事なものだったので、自信を持ってレビューします。 | ![]() |
本作ではまず登場人物の勝利かな、という気がします。
物語は2組のコンビを主軸に展開します。1組目は売れない大阪芸人と多重人格の運び屋で、2組目が今回の一文のようにペテン師を目標とする女子高生とプロの女詐欺師。木下半太という作家は舞台作家なので、会話を中心としたストーリー展開を得意とするのだが、その得意分野に持ってこいの登場人物、大阪芸人が登場しているのだから話が面白くならないわけがない。多重人格の運び屋とときにはボケ、ときにはツッコミと、テンポ良く話を展開させていきます。まあある意味、開き直りのようなキャスティングかとも思いますが、絶対的に面白くなるのだから大歓迎です。
さらに2組み目のペテン師志願の女子高生の脳の回転の速さが半端じゃない。プロの女詐欺師も詐欺師だけあってかなりの頭脳派ですから、この2人のやり取りも疾風怒濤の急転直下。よくもまあこれだけの破天荒なストーリーをまとめていくもんだ、と思いつつサクサクと読み進めます。
強面のヤクザ、Mのハリウッドスターなど豪華絢爛な脇役がそれぞれキャラ立ちしているので、宮藤官九郎の映画を見ているようです。というか映画にしちゃってもいいですよ、絶対。
兎に角、「悪夢の観覧車」でちょっと引いてしまった人でもお薦めの第3弾に仕上がってます。「悪夢のエレベーター」を読んだ人なら読まない手はないです。
因みにネタバレに多少なるので詳しくは書きませんが、エレベーター→観覧車→ドライブという順番で読むことを絶対的にお薦めします。
それと名作映画「スティング」と「ソードフィッシュ」をまだ観てない人は観てから読んだ方がいいです。大切なラストがネタバレされちゃってます。
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悪夢シリーズ第1弾、2弾はこちらからどうぞ。
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