キラレキラレ/森博嗣レビュー


「ただ、じっと待つ」

S&Nシリーズ(犀川&西之園)、四季シリーズ、Vシリーズ(瀬在丸紅子)、Xシリーズ(海月君)ときて、これはGシリーズだそうだ。 私がミステリーとして謎解きを楽しみながら読んでいたのはVシリーズまで。現在も作品が追加されているXシリーズ、Gシリーズは既にミステリーとしては読んでませんね。

でも読み続けちゃうんですよ。何故なのか自分でもよく分からなかったので、考えてみました。

キラレ×キラレ (講談社ノベルス)


謎解きとは結局「誰が、いつ、どこで、どのように、なぜ」という5つの項目を明らかにすることだと思います。全てが謎の場合もあるし、アリバイ崩しのように「誰が」は分かっている場合もあります。

森博嗣のS&N、Vシリーズは作品により謎となっている部分が異なってはいますが、最後の謎解きの段階ではこの5つの項目がほぼ明らかにされていると言って良いと思います。なので謎解きが終わると腑に落ちるというか、納得するというかそういう安定的な感覚が得られます。

けれどXシリーズになると謎解きが終わっても、まだ何か納得できない、問題がクリアされていない感じになってきます。特に「なぜ」の部分が置き去りにされて、所謂、動機については「分からない」で終わってしまうことが多い気がします。

実際、現実の世界でも“犯人の動機が不明“なんていうことがあったりするわけで、人の心なんて本当のところはよく分からない、とよく言うようにそれは悪いことだとも思いません。

が、終わってもすっきりしないという感覚は否めず、ミステリーとして楽しむにはちょっと”ぼやけすぎ”だと思っています。

多分そんな理由で私はX、Gシリーズはミステリーとしては読むのを止めてしまっているんだと解釈しています。

で、問題はなぜそのくせ、それらのシリーズを読み続けてしまうのかということ。

S&Nから始まるこれらのシリーズはひと続きの世界を書かれたもので、特に西之園はその象徴的な存在として、全てのシリーズに登場しています。作品は既に合計34冊にも及んでいるわけですが、ここまで積み重なってくるとその集合体としての世界そのものがひとつの作品のように感じられます。

つまり1冊1冊を個々の作品として読むことも可能だが、全体をひとつの大きな長編と捉えることも可能なんじゃないかと。私が漠然と感じているのはそういう感覚ですね。

最近の作品を楽しんではいないものの、大きな作品の1部分として、読み飛ばさずにはいられない。

なぜ読み続けてしまうのか?という自分への問いの回答はそんなところでしょうか。

大きな作品がどのように完結するのかを、“ただ、じっと待っている”んですね。きっと。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

森博嗣の浮遊工作室 ...作家自身のWEBサイトです。
森博嗣@Wikipedia

森博嗣@Amazon

キラレ×キラレ (講談社ノベルス)
キラレ×キラレ (講談社ノベルス)
著者:森 博嗣
出版社:講談社
出版日:2007-09
ランキング:127549位
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