ぼくのミステリな日常/若竹七海レビュー
それで、読んでいるうちに、おかしなことに気づいたんです。
| 初めて読んだ若竹七海作品です。
"デビュー作が代表作"と言われることがままありますが、この作品もそんな一作ではないかと思える逸品でした。 非常に特徴的な構成のミステリなのですが、詳細を続きに書いておきます。 | ![]() |
本書には12編の短編が収録されているのですが、最大の特徴はその12編の短編がある建設会社の社内報に掲載されているところ。
プロローグに相当する手紙が導入となり、意外にすんなりとこの不思議な月刊社内報形式に入っていけますが、わざわざ社内報の目次までが収録されているという凝った作り。
各短編の主人公である"ぼく"は月ごとに大小色とりどりの謎に遭遇し、爽やかに解決していく。色とりどりとは控えめの表現で、実際にはホラー調あり、殺人事件あり、お絵かき遊びありで、よくまあこれだけ色んな話しを書けるものだというぐらい変化に富んでいます。
12編の短編の後には、作中の社内報担当(本当の主人公)の編集後記と、エピローグ的な手紙が待っていて、こちらも見逃せない内容なってますよ。
冒頭に取り上げた一文は、ミステリーを読むときの大切な一瞬を表していると思っています。本格的に謎解きに挑戦するのであれば、作品中の"おかしなこと"は決して無視してはいけません。
この作品に関わらず探偵役の登場人物たちは特殊な視点を持っているので、読者が"おかしいな"と思わないところを、"おかしい"と感じ、そこを突破口に謎を解明したりします。
しかし我々読者が"おかしいな"と思うであろう箇所も、要注目のパートであり、必ず謎解きのためのキーポイントになっています。こうした"おかしなこと"を解き明かすのがミステリーなのですから、それは間違いありません。
ただしそれがうまく目眩ましされていたりして、それまで全く不思議に思わなかったのに、謎解きの後から振り返ると「何で不思議に思わなかったのだろう?」と首を傾げる事態になったりするわけです。
これを「作者にしてやられる」というのですが、私は本作でまんまと(死語?)やられてしまいました。
ある意味、一発ネタなのですが、これまで読んできた作品にはない見事な芸だし、他では見られないネタなので、読まれてない方は是非読んでみてください。
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