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2009年9月 アーカイブ

2009年9月30日

誘拐作戦/都筑道夫 ミニレビュー

その女は、小雨に洗われた京葉道路に、横たわっていた。

昭和37年発行で、この大胆さ!

語りのスタイルから最後の註まで遊び心があって楽しめました。
比較的「誘拐もの」というのは傑作が多いと思うのですが、この作品はその全ての始祖ではないかと思うほど、面白いですね。

あまり深く掘り下げない人間の描き方などからすると、新本格ブームで出てきた作家たちはここに連なる気がします。

都筑道夫さんの作品は初めて読んだので、Wikipediaで調べてみたところこんなテキストが。

推理小説を「謎と論理のエンタテイメント」であるとし、犯人が仕掛けるトリックよりは、ロジックの方が重要であるとの考え方を示した。極端に言えば、魅力的な謎と、なぜそのような状況が生じたのかという必然性が論理的に語られるなら、トリックなどなくても推理小説は成り立つ、というのが都筑の立場である。

やっぱり新本格っぽかったですね。他の作品もすごく気になります。

ミステリー好きな人は読んでおいて損はない一冊だと思います。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>都筑道夫@Wikipedia

>>都筑道夫@Amazon

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: : : :
: 国境/黒川博行 ミニレビュー
: 迅雷/黒川博行 ミニレビュー
: 二度のお別れ/黒川博行 ミニレビュー

探偵伯爵と僕/森博嗣 ミニレビュー

こんにちは、伯爵

子ども目線の意見が鋭いですね。

これまでの作品にも色んな問題提起やハッとするセリフがありましたが、犀川先生や真賀田博士が発するものと比べて現実的な感じ。伯爵の言葉にも通じるものを感じますが、こういう書き分けが森博嗣のうまさだなと思います。
最後の最後で煙に巻いてしまうのも森博嗣流ですよね。

意見が別れそうな作品だと思いますが、個人的には好きな作品です。

講談社のミステリーランドという"青少年向けっぽい"シリーズの一冊ですが、どちらかというと大人が読んだ方が面白い作品だと思います。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>森博嗣@

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: :
: そして二人だけになった/森博嗣ミニレビュー
: キラレキラレ/森博嗣レビュー
: カクレカラクリ/森 博嗣一文レビュー

2009年9月27日

ひとがた流し/北村薫 ミニレビュー


闇の中に浮かんでいた、華やかな電気の城は、ただ、あの時だけ存在した、幻のようでもある。

電車の中で読むべきではなかったですね。「しくしくと痛む」と云う表現がありますが、読み進むにつれてそれに近い苦しさがどうしようもなく胸に渦巻きました。思い返しても息が詰まります。

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女性三人の友情を描いた短編集。と書いてしまえば簡単ですが、章ごとに違う登場人物の視点から描かれ、色んな読み方もできると思います。

個人的には、「複数の視点から描かれる」ことによる著者の意図としては、感情移入させないというものじゃないかと思います。もちろん様々な意図があるのでしょうが、一人ないしは二人だけの視点ではなく、複数の視点が提供されることにより、物語はいくつものふくらみを持ち、より俯瞰的なものになっていきます。

俯瞰的な視座から見えてくるのは、川に例えて言うならば、物語の本流だけでなく、様々な支流も含めた河川全体の流域のような広がりのようなものでしょうか。川が川だけでなく川と一体になっている河川敷や周辺から流れ込む支流などから成り立っているように、物語には描かれていない登場人物たちの過去や生活もあります。

直接の主人公たち以外の人たちから見た話が織り込まれることによって、この物語の外に広がっている景色までもが見えるような、不思議な効果があるような気がします。

そうして語られる女性たちの友情は、地に足がついたというか生活に根差したものというか、目に見えなくも非常に緊密なものであるように感じます。

他にも言いたいことは山ほどあるような気がする特別な一冊ですが、声に出そうとすると言葉にできません。

女性だけでなく全ての人に読んで欲しい、この1年で最も心にきた本です。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>北村薫@Amazon

: :
: 世界は密室でできている/舞城王太郎 ミニレビュー
: 語り女たち/北村薫 ミニレビュー
: きつねのはなし/森見登美彦 ミニレビュー

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦 ミニレビュー

私のロマンチック・エンジンはもはや誰にも止めることができない。

「太陽の塔」「四畳半神話大系」に続いて、妄想ファンタジー小説です。

前2作と違って、今度は女のコの妄想も取り込んでいます。男男男男男男よりは男女男女男女の方が、やっぱ読んでても楽しいですね。そして伊坂幸太郎ばりに交錯する先輩と彼女の物語がやけにいじましい。

先輩は兎も角、かわいい天然系キャラの黒髪の乙女のことはついつい応援してしまう。
毒気が抜けて心持ち爽やかになった森見ワールド、女性がよく読んでいるのもうなずけます。

"韋駄天コタツ"に"パンツ総番長"、"プリンセス・ダルマ"に"ロマンチック・エンジン"!!
微笑ましくも奇天烈な森見ワールド全開の一冊。元気を出したいときにはお薦めの一冊です。

個人的には小さい頃に読んでいた絵本の「ラ・タ・タ・タム」
が出てきてうれしいことしきり。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>森見登美彦@Amazon

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: :
: きつねのはなし/森見登美彦 ミニレビュー
: 四畳半神話体系/森見登美彦 ミニレビュー
: 太陽の塔/森見登美彦

2009年9月22日

あるキング/伊坂幸太郎 ミニレビュー

「ひまわりの種に、ひまわりを目指しているんですか、って質問する?」

非常に評価が難しい作品だけど、伊坂作品の中では最もその特徴が骨太に描かれている作品かも知れない。

著者の一貫して描いているのはアウトサイダーたちの物語だが、<王>でありながら周囲から疎まれてしまう王求の存在には、<死神>や<カカシ>に感じたファンタジーはかけらもなく、異物感以外のものは感じられない。

他の作品では色んな彩りがあるために見えにくくなっているそうしたアウトサイダーのコアとなる異物感が丸裸にして描かれている。
その異物感が伊坂作品の特徴だと考えれば、「あるキング」こそそれを浮き彫りにした作品ではないだろうか。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>伊坂幸太郎@Amazon

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: :
: 死神の精度/伊坂幸太郎 ミニレビュー
: モダンタイムス/伊坂幸太郎 一文レビュー
: 伊坂幸太郎、最新刊発売

夜のピクニック/恩田陸 ミニレビュー

本当に辿り着けるんだろうか。

本屋大賞、納得です。

夜のピクニックと云う行事自体が物凄く魅力的ですよね。「六番目の小夜子」といい、この「夜のピクニック」といい、恩田陸は学校行事コンサルタントでも開業したら良いんじゃないでしょうか。

大盛り上がりのクライマックスがあるわけではないですが、長いピクニックという淡々延々とした歩みに合わせた大小の起伏があり、飽きさせない。

僅か1日の物語ですが、プロセスこそが面白いということを再認識させられます。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>恩田陸@Amazon

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: :
: 世界は密室でできている/舞城王太郎 ミニレビュー
: きつねのはなし/森見登美彦 ミニレビュー
: ひとがた流し/北村薫 ミニレビュー

2009年9月 8日

鬼流殺生祭/貫井徳郎 ミニレビュー

舞台は明治のごく初期だが、恐らくこの辺りの時代の物語を描くのは相当に難しい。

やはり時代の雰囲気や空気というものが読み手側でイメージしづらいからだと思うが、そこを補ってさらにイメージを飛翔させてくれるのが北村薫などの名手と呼ばれる人たちだろう。

舞台や小道具を変えるだけでなく、その時代の世界を描いて生きる作品だったと思うので、そうした世界観が感じられないのが残念。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>貫井徳郎

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: :
: 失踪症候群/貫井徳郎 ミニレビュー
: 天使の屍/貫井徳郎 ミニレビュー
: 被害者は誰?/貫井徳郎 ミニレビュー

28年目のハーフタイム/金子達仁 ミニレビュー

マイアミの奇跡の裏で起きていたチームの崩壊を今更ながらに読む。

今では当たり前になっているオリンピック出場も彼ら或いは当時の時代にとってはメキシコ五輪以来の舞台だったのだ。マスコミを含め冷静ではなかったのだと改めて知る。

だがサッカー協会はその後の成長が見られるが、マスコミを含む社会全体の姿勢は未だに大した変化が見られず、文化が根付くまでの時間の重みを再認識。

選手、監督、マスコミという多視点から見たときに浮かび上がるひとつの物語は、残念ながら悲劇であったことを思い知らされる。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>金子達仁@Amazon

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: :
: 最終ラインからのラストパス/名古屋の吉田麻也
: U-19日本代表、W杯出場権逃す
: U-19日本代表あっさり決勝トーナメント決めたけど...

2009年9月 2日

家族の行方/矢口敦子 ミニレビュー

血が、愛憎の色に似ていることに気づいた。

まるで期待せずに読んだのですが、意外にも面白かったですね。
丁寧な人物描写も好感が持てるし、伏線の張り方もなかなかのもの。

話しの展開には強引さがあるけど、それさえ目をつぶれば、次第に見えてくるストーリーに引きこまれていきます。

探し求める人物が遠ざかったり近づいたりしながら、次第に陽炎の向こうに行ってしまうような感覚が気に入りました。

他の作品も読みたいがまずは何から読もうか。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>矢口敦子@Amazon

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: :
: 世界は密室でできている/舞城王太郎 ミニレビュー
: 煙か土か食い物/舞城王太郎 ミニレビュー
: 誘拐作戦/都筑道夫 ミニレビュー

2009年9月 1日

白い兎が逃げる/有栖川有栖 ミニレビュー

「兎と亀か」

安定感のある有栖川有栖の中編集ですが、残念ながら少し物足りない感じです。

得意のロジックは健在だし、伏線や人物の描き方もそつがない。
ただ中編というのが災いしているのか、大きな物語がありません。

ミステリとしては可ですが、それ以上のものがないので、読み物としてはいまいちでした。強いて挙げるなら動機がポイントになっている「地下室の処刑」が一番でしょうか。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>有栖川有栖@Amazon

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: : :
: 山伏地蔵坊の放浪/有栖川有栖 ミニレビュー
: 切れない糸/坂木司 ミニレビュー
: 配達あかずきん/大崎梢 ミニレビュー
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