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きつねのはなし/森見登美彦 ミニレビュー

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その長い塀の上を、狐のようなケモノの影がするすると駆けた。


「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」の作品たちが陽とするなら、こちらは陰の京都を描いた怪奇短編集。<世にも奇妙な物語>のような怖さを味わえる作品ですが、他の森見作品を知ってる人にとっては真っ当な文体で書かれていることの方が驚きかも知れません。

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こうして京都を舞台にした怪奇譚を読んでみると、後付的な感想のような気もしますが、現代日本で不可思議な怪奇譚がはまるのは確かに京都をおいて他にはないのかも知れない、と思います。他の森見作品も京都を舞台にしてはいますが、地霊的な結びつきという意味ではこの作品の方が遙かに結びつきが強固です。

と考えていると、著者の森見氏が京都で生活していたからこその作品群なのだなぁと改めて思います。
村上春樹の「東京奇譚集」
が結局のところ、<東京>という名前を付けながら東京の<どこでもない場所>という世界しか描いてないことに対して、「きつねのはなし」では細い路地や古屋敷が舞台となり、そこに潜む気配が濃密に描かれます。

森見氏が見て、歩き、感じ取った京都の一端がそこには描かれているのでしょう。
京都×森見登美彦がこれらの作品を生んだのだと思うと、例えば東京×森見などはどんな著作になるのかなどと埒もなく想像してしまいます。

1作ぐらい別都市舞台の作品を書いてくれないものでしょうか。

評価<spacerspacerspacerspacerspacer

>>森見登美彦@Amazon

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