クローズド・ノート/雫井脩介 レビュー
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私は目を閉じ、ノートをぎゅっと抱きしめた。
| 周りの評判がそれほど高くなかったので、期待せずに読んだのが良かったかも。予想外の面白さに思わず一気読みをしてしまいました。
これまでの雫井作品とは違うテリトリーの作品ですが、ロマンや情熱といった人間の意志・思いの強さはどの作品にも通底する一貫したテーマであり、この「クローズド・ノート」でもその思いの強さが読後に至るまで心に残り続けます。 | ![]() |
部屋に残された一冊のノートを読むヒロイン。そのヒロインと一緒になって、ノートを読む読者という二重構造も効果的で、ついついヒロインに共感し、同時にノートの作者に共感してしまう。
そんな巧さもあり、最後にはどうしてもぐっと涙を堪えなければならなくなる、切なく優しく、惹き込まれる物語です。
最近の作家は良い意味でも悪い意味でも、ちょっとひねった作品を指向しているような気がします。読者側もそうしたスタイルが染みついているのか、ラストに驚きを求めるようになっているかも知れません。
しかしこの「クローズド・ノート」を読んで改めて思いましたが、雫井脩介という作家はこうした隆盛の中で珍しく常に直球勝負のスタイルです。「犯人に告ぐ」「虚貌」「火の粉」などこれまでの作品を振り返っても、変にひねったりせず、そこにある物語を単純に抽出して生まれ出たものだということがよく分かります。
石の中に眠る彫刻を掘り出す彫刻家のように、自らの言葉で物語を浮き彫りにすること。
雫井脩介の作品からはそんなストイックな姿勢を感じます。
この「クローズド・ノート」は後書きで明かされる真実も含めて、思いの強い作品の中でも作者の代表作だと思います。
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